東京都の創業融資3つの制度と利用手順を解説【2023年版】

東京都の創業融資3つの制度と利用手順を解説【2023年版】

監修者:渡部 豪(公認会計士)

KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)

東京都は、創業融資制度も充実しており、多くの起業家や新しいビジネスを始めたい人々にとって魅力的な場所です。

しかし、その制度も多くありどの制度を利用すべきか分からない方も多いでしょう。

そこで本記事では、東京都で利用できる創業融資の制度と利用方法を詳しく解説します。

新しいビジネスをスタートさせるための貴重な資金や支援を受けるために、東京都の創業融資制度を上手に活用しましょう。

東京都で起業を検討中の方や事業拡大を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

目次

東京都で創業融資を受ける

東京都で利用できる創業融資は、主に3種類に分けられます。

【東京都で受けられる創業融資制度】
・東京都の制度融資
・市区町村の制度融資
・日本政策金融公庫

それぞれの融資制度の条件をまとめた表はこちらです。

東京都で受けられる創業融資制度
項目東京都市区町村
日本政策
金融公庫
融資
限度額
3,500万円1,500万円
~2,000万円
3,000万円
対象創業前
または
5年未満
創業前
または
5年未満
創業前
または
税務申告
2期未満
利率1.7%~2.2%0.1%~0.5%1.0%~3.5%
期間
(最長)
運転 7年
設備 10年
運転 7年
設備 10年
運転 7年
設備 10年
担保・
保証人
条件による条件による原則不要
情報元:東京都創業NET(東京都産業労働局)新創業融資制度(日本政策金融公庫)

市区町村の創業融資の内容は各自治体によって異なるため、各自治体のホームページなどで確認しましょう。

東京都の制度融資

東京都の制度融資は、東京都、東京信用保証協会、指定金融機関の3者が連携して提供しています。

この制度を利用するためには、東京信用保証協会の保証が必要となります。

融資限度額は3,500万円までと、限度額が大きいのが最大の特徴です。

加えて、1.5~2.5%の低金利で融資を利用できるお得な制度となっています。

市区町村の制度融資

東京23区などの各自治体でも創業融資制度が設けられています。

例として、渋谷区や中央区では2,000万円が融資限度額として設定されています。

中小企業が事業に必要な資金をスムーズに調達できるよう、区が金融機関へ融資あっせんを行います。

市区町村から利子補給を受けることができるため、例えば渋谷区の場合は0.1%の低金利で融資を利用できるお得な制度です。

渋谷区の創業融資制度については、こちらの記事で解説していますので、ご参照ください。

日本政策金融公庫の創業融資

日本政策金融公庫は、100%政府出資の金融機関として、無保証(代表者の連帯保証なし)の創業融資を提供しています。

新創業融資制度のほか、中小企業経営力強化資金などさまざまな融資制度が用意されており、新規事業者や起業を考えている方にとって魅力的な選択肢のひとつです。

日本政策金融公庫の創業融資については、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。

東京都の創業融資の制度一覧

東京都では、創業者や中小企業者を支援するための融資制度「東京都中小企業制度融資」を提供しています。

SDGs、DXの推進やテレワークの取り組みなどのほか、創業や事業転換、経営の安定化などさまざまなニーズに応じた融資制度があります。 

創業融資はその一部として利用可能です。

この制度では、東京都内の中小企業者が事業資金を必要とする場合、取扱金融機関経由で東京信用保証協会へ申し込みをします。

東京都から利子の一部が補助されるため、事業者の借入負担を軽減できるお得な制度です。

東京都では、創業者や中小企業者を支援するための融資制度「東京都中小企業制度融資」を提供しています。
東京都の創業融資制度の一覧
制度創業融資創業支援特例先進的創業特例
融資
限度
3,500万円3,500万円8,000万円
利率1.7%~2.2%1.7%~2.2%1.7%~2.2%
貸付
期間
運転7年以内
設備10年以内
運転7年以内
設備10年以内
10年以内
対象創業前
または5年未満
創業前
または5年未満
かつ
商工会議所等の
認定証明あり
創業前
または5年未満
かつ
先進的創業特例の
対象事業
情報元:東京労働産業局「東京都中小企業制度融資一覧」

創業融資

東京都内で新しく事業を始める個人や、創業から5年未満の中小企業者を対象に、最大3,500万円の融資が可能です。

物的担保は基本的に不要で、保証人が必要となる場合もあります。東京都から信用保証料の2/3が補助されます

創業融資の制度内容
融資金額3,500万円以内
対象(1)から(3)のいずれかに該当するもの
(1)事業を営んでいない個人で、
東京都内で創業しようとする
具体的計画を有するもの
(2)創業した日から5年未満である
中小企業者又は組合
(3)東京都内で分社化しようとする会社
又は分社化により
設立された日から5年未満の会社
資金使途運転・設備のいずれか、または両方同時
金利1.7%~2.2%
貸付期間運転資金 7年
設備資金 10年
保証人必要となる場合がある
物的担保原則として不要
保証料補助率2/3
情報元:東京労働産業局 制度融資要項「東京都中小企業制度融資一覧」

創業支援特例

創業支援特例は、商工会議所・商工会、公益財団法人東京都中小企業振興公社又は保証協会から認定特定創業支援等事業に準ずる支援の証明を受けた事業が対象となる融資制度です。

認定事業による支援証明を取得するためには、1ヵ月以上かつ1年に4回以上、認定特定創業支援等事業による支援を受ける必要があるため、一定の期間がかかります。

手間はかかりますが、創業融資と比べて金利が0.4%優遇される点が特徴です。

創業支援特例の制度内容
融資金額3,500万円以内
対象創業融資の対象であり、
かつ(1)または(2)に該当するもの
(1)産業競争力強化法に規定する
認定特定創業支援等事業により支援を受け、
区市町村長の証明を受けていること。
(2)商工会議所・商工会、
公益財団法人東京都中小企業振興公社
又は保証協会より
認定特定創業支援等事業に準ずる
支援を受け、その証明を受けていること。
資金使途運転・設備のいずれか、または両方同時
金利1.7%~2.2%
貸付期間運転資金 7年
設備資金 10年
保証人必要となる場合がある
物的担保原則として不要
保証料補助率2/3
情報元:東京労働産業局 制度融資要項「東京都中小企業制度融資一覧」

先進的創業特例

先進的創業特例は、先進的な事業を行う中小企業者や組合を対象にした制度です。

先進的な事業の例としては、TOKYO戦略的イノベーション促進事業など、都の主催する事業等への採択が条件となっています。
参考:TOKYO戦略的イノベーション促進事業

東京都の政策と合致する事業であることが条件となりますが、最大8000万円まで融資を受けられます。

先進的創業特例の制度内容
融資金額8,000万円以内
対象創業融資の対象であり、
先進的創業特例融資対象(以下)
のいずれかに該当する
中小企業者又は組合
資金使途運転・設備のいずれか、または両方同時
金利1.7%~2.2%
貸付期間運転資金・設備資金ともに10年
保証人必要となる場合がある
原則として不要
保証料補助率2/3
情報元:東京労働産業局 制度融資要項「東京都中小企業制度融資一覧」

先進的創業特例に該当する事業とは、以下を指します。

先進的創業特例の対象事業
事業名/取組名実施事項必要書類
X-HUB TOKYO当該事業の
支援を受けている
採択企業ページ
の写し
DX社会実装
プロジェクト
~DX Startup Pitch~
当該事業の
支援を受けている
ピッチイベント
登壇
スタートアップ
掲載ページ
の写し
先端医療機器
アクセラレーション
プロジェクト
(AMDAP)
当該事業に
採択されている
採択事業者
ページ
の写し
東京ベイeSG
プロジェクト
当該事業に
採択されている
交付決定通知書
の写し
スマート東京
の実現に向けた
スマートサービス
の実装促進事業
当該事業の
スマートサービス
実装促進事業者
による支援を受けている
適格要件
確認通知
の写し
キングサーモン
プロジェクト
当該事業に
採択されている
公共調達の
認定通知
の写し
対話型課題解決
プロジェクト
当該事業の
都政現場において
協働プロジェクトを実施している
協働
プロジェクト
実施に係る
協定書
の写し
TOKYO戦略的
イノベーション
促進事業
当該事業に
採択されている
助成金交付決定通知書
の写し
スタートアップ
知的財産支援事業
当該事業に
採択されている
ハンズオン
支援決定通知書
の写し
次世代
イノベーション
創出プロジェクト
2020
当該事業に
採択されている
助成金交付
決定通知書
の写し
新需要獲得に向けた
イノベーション
創出支援事業
当該事業に
採択されている
補助金交付
決定通知書
の写し
ゼロエミッション東京
の実現に向けた
技術開発支援事業
当該事業に
採択されている
補助金交付
決定通知書
の写し
未来を拓く
イノベーション
TOKYOプロジェクト
当該事業に
採択されている
補助金交付
決定通知書
の写し
情報元:東京労働産業局 制度融資要項「東京都中小企業制度融資 融資対象一覧」

東京都の創業融資を受けるための手順

東京都で創業融資を受ける手順を詳しく説明していきます。

STEP
取扱指定金融機関に相談

まず、東京都の創業融資を取り扱っている、取扱金融機関の窓口に融資相談を行います。

銀行、信用金庫、信用組合など計91の金融機関が取り扱っているので、最寄りの支店へ相談しましょう。

東京都の創業融資「取扱指定金融機関」
都市銀行みずほ、三井住友、三井住友信託、
三菱UFJ、りそな
地方銀行武蔵野、山口、山梨中央、横浜、
足利、阿波、伊予、SBJ、
愛媛、大垣共立、香川、北日本、
京都、きらぼし、きらやか、群馬、
京葉、高知、埼玉りそな、静岡、
静岡中央、常陽、スルガ、大光、
第四北越、大東、千葉、千葉興業、
中国、筑波、東京スター、東邦、
東和、徳島大正、栃木、
富山第一、八十二、東日本、百十四、
北陸
信用金庫青木、朝日、足立成和、青梅、
亀有、川崎、興産、小松川、
西京、さわやか、芝、湘南、
城南、城北、昭和、巣鴨、
西武、世田谷、瀧野川、多摩、
東栄、東京、東京三協、東京シティ、
東京東、東京ベイ、飯能、
目黒、横浜
信用組合あすか、東、共立、江東、
七島、青和、全東栄、第一勧業、
大東京、東京厚生、東浴、中ノ郷、
ハナ、文化産業
政府系
金融機関
商工組合中央金庫
漁協・農協
系統金融機関
東京都信用農業協同組合連合会、
東日本信用漁業協同組合連合会
情報元:融資申込受付機関(東京都産業労働局)
STEP
書類の準備

東京都の創業融資の申し込みを行うために必要な書類を準備します。

都道府県によって書類が異なるため、東京都の創業融資を受ける場合は、東京信用保証協会から様式をダウンロードします。

東京都の創業融資の申請に必要な書類
書類名内容
信用保証委託申込書

(東京信用保証協会 行)
東京信用保証協会HP
よりDL可
個人情報の取扱い
に関する同意書
東京信用保証協会HP
よりDL可
創業計画書東京信用保証協会HP
よりDL可
印鑑証明書原本かつ発行日から
3か月以内のもの
商業登記簿謄本原本かつ発行日から
3か月以内のもの
確定申告書控直近2期分
法人税又は事業税の
納税の確認ができる書類
納税済みの場合のみ
見積書又は契約書の写し設備資金を
申請する場合のみ
情報元:東京労働産業局>東京都中小企業制度融資>必要書類

これらの書類のほかにも追加で必要になる書類もありますので、相談時に確認しましょう。

STEP
取扱指定金融機関の審査

融資を申し込んだ取扱金融機関で、融資取り組み可否の審査が行われます。

審査では、提出した書類の内容をもとにビジネスプランや財務状況を詳しく調査します。

無事に審査に通過したら、取扱指定金融機関から信用保証協会へ審査の申し込みがなされます。

取扱指定金融機関の審査のみで融資が決定されるわけではないので、注意しましょう。

STEP
東京信用保証協会への申し込み

保証協会は、中小企業や小規模事業者がスムーズに資金調達を支援することを目的に設立された公的な保証機関です。

中小企業者が金融機関から融資を受ける際にその債務を保証して、利用者の信用を補完します。

東京信用保証協会の審査では、提出した書類の内容のほかにも自己の通帳チェックや事務所の実地調査など、細かい点まで慎重に行われます。

経営者の経営意欲や事業への取組姿勢、事業経歴、資金の使途、返済能力などを総合的に審査し、 保証の可否が決定されます。

STEP
東京信用保証協会の審査

東京信用保証協会の審査結果は、融資を申し込んだ取扱指定金融機関経由で通知されます。

審査結果により、当初の申し込み金額から減額されたり、融資がおりない場合もあります。

STEP
契約

取扱指定金融機関・東京信用保証協会の審査が完了した後に、金融機関で正式な契約を行います。

保証協会は創業者の信用を保証する役割をもつ機関であり、東京信用保証協会との間で信用保証委託契約を締結します。

実際の融資は金融機関が行うため、取扱指定金融機関との間では金銭消費貸借契約を締結します。

契約書の内容に間違いがないかしっかり確認しましょう。

融資の実行までの期間は金融機関によって異なりますが、通常、契約後1週間以内には融資が実行されて着金されます。

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