保証協会付き融資を断られたら?|断られる理由と対処法

保証協会付き融資を断られたら?|断られる理由と対処法

監修者:渡部 豪(公認会計士)

KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)

▼保証協会の融資審査に通るのか知りたい方▼

保証協会付き融資を断られたにもかかわらず、理由や対処法が分からず困っていないでしょうか。

審査に落ちた場合、理由の公表はなく結果だけ告げられるため不安が残ります。

創業期の企業やサービスへの融資は、大半が保証協会付き融資がとなるので、できるだけ確実に審査を通りたいものです。

とはいえ、審査落ちの理由すら分からないと、対策のしようもないですよね。

実は審査に落ちてしまう人には一定の理由があり、それに対する対処方法もあります。

本記事では、保証協会付き融資を断られる理由と対処法について、詳しく解説しています。

さらに、審査のポイントまで具体的に説明しているので、保証協会付き融資を検討中の方はぜひ参考にしてください。

目次

保証協会付き融資の審査結果はどの金融機関から申込んでも変わらない

よくある質問に、「どこの金融機関から融資を受けるのがいいですか?」といったものがあります。

しかし、実態としてはどの金融機関から申し込んでも、保証協会付き融資の場合、審査結果は変わりません。

なぜなら同一地域内では、審査を行う保証協会は基本的に同じになるからです。

保証協会は47都道府県と4市(横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市)の全国51ヵ所にありますが、同一地域内のどの金融機関から申込みがあったとしても、審査を行う支店は本店所在地を基準に1つだけ割り当てられる形となります。(例:本店所在地が東京都港区の場合、東京信用保証協会 本店が担当)

さらに、保証協会は公的機関であり、融資基準は均一化されているため、どの金融機関から申し込んでも、審査結果に大きな違いは生じにくいのです。

創業期の融資の大半は保証協会付き融資となる

創業期の企業に対しての融資は、大半が保証協会付き融資になります。

その理由は、金融機関が高リスク融資に対して保守的だからです。

保証協会付き融資では、信用保証協会が融資リスクの一部を保証します。

信用保証協会の保証を得ることによって、金融機関はリスクが分散され、融資を行いやすくなるため、創業期やまだ安定していない事業には、保証協会と連携した融資が提案されるのです。

一方、金融機関が直接リスクを負う融資方法をプロパー融資といいます。

プロパー融資は保証協会の介入がなく、金融機関側のリスクが高いため、創業期の企業や事業ではほとんど受けられません。

そのため、創業期の融資の大半は、保証協会付融資となり、どの金融機関から申込んでも最終的には担当エリアの保証協会支部が審査を行うため、審査結果は変わらない、といえます。

保証協会付き融資を断られる理由

保証協会から断られる理由として、以下の10個が考えられます。

【保証協会から断られる理由】
・事業計画書の説得力が薄い
・資金使途が妥当でない
・融資の対象外業種である
・自己資金が足りない
・会社の財務内容が悪い
・オーバーローンである
・既存の保証協会付き融資の返済を延滞・条件変更している
・既存の保証協会融資で資金使途違反をしている
・決算書の粉飾が疑われる
・社長や役員・株主の信用力に問題がある

財務内容だけでなく、信用情報なども関係するので、それぞれ解説します。

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事業計画書の説得力が薄い

融資の際の事業計画書は定量指標がないと、説得力が薄いと思われて融資を断られてしまいます。

定量指標とは、データを数値化し客観的な指標とすることです。

事業計画書の売上予測や費用、返済計画などを、客観的で実現可能な数値で表すことが重要となります。

良くない事業計画書の例を挙げると、以下の通りです。

【説得力の薄い事業計画書の例】
・売上計画が前年比200%など根拠に乏しい
・費用計画に誤りがある
・返済能力を示せていない

資金使途が妥当でない

以下のような資金使途は妥当でないと思われ、融資を受けにくくなります。

【資金使途が妥当でない例】
・回収見込みを証明しにくい事業投資
 テレビCMや市場にない新規事業など
・事業と関係ない資金使途
 高級車の購入や株式投資、他社への貸付など

上記の2つのいずれかを資金用途とするのは、必ず避けましょう。

融資の対象外業種である

信用保証協会の信用保証は、ほとんどの業種で受けられますが、対象外の業種もあります。

【融資対象外の業種】
・農林・漁業
・性風俗関連特殊営業(風営法第2条第5項)
・金融業
・宗教法人
・非営利団体(NPOを除く)
・LLP(有限責任事業組合)

情報元:東京信用保証協会「ご利用いただける中小企業とは」

対象外の業種に該当する場合は、他の融資制度や資金調達方法を検討しましょう。

自己資金が足りない

融資を受ける場合、事業に必要な資金の全額を融資で賄うのは難しいです。

実際、信用保証協会では、創業融資を受けるために1/10以上の自己資金が必要と明示されています。

ただし、1/10はあくまで最低限で、実際は少なくとも1/3以上の自己資金を用意しないと審査に通る可能性は低いです。

【自己資金不足の例】
自己資金が融資額の1/3未満

会社の財務内容が悪い

売上が低迷し、かつ赤字が続いている場合、返済能力に疑問を持たれてしまい、審査に落ちてしまいます。

保証協会は、貸出資金が期限内に返済される見込みがあるかを重視するため、年間利益が小さい場合も審査に通る可能性は低くなります。

【悪い財務内容の例】
・赤字
・債務超過
・年間利益が借入希望額の1/5未満

オーバーローンである

オーバーローンの状況にある企業は、保証協会からの信用保証を受けるのは難しいです。

【オーバーローン】
貸出額が企業の資産や収益能力を上回っている状態のこと。

保証協会はすでに多額の借入のある会社に対し、新たな融資による滞納リスクの増大を懸念します。

オーバーローンの例】
既存借入額が年間利益の7倍以上

もしオーバーローン状態の場合、既存の借入をある程度返済(理想は年間利益の5倍未満まで)してから、再度申し込みましょう。

既存の保証協会付き融資の返済を延滞や条件変更している

保証協会付き融資を既に借りている人で、返済の延滞や条件変更がある場合、返済能力や財務状況が不安定だと見なされます。

結果、新たな保証は受けられず、審査に落ちてしまいます。

延滞・条件変更の例】
・約定返済ができない月があった
・返済猶予を受けている
・返済期間を延長している

返済期限のリスケジュールを金融用語で「条件変更」と呼びますが、正常化するまで新規融資は基本的に受けられません。

将来的な融資への悪影響が大きいため、たとえ返済が苦しくなっても、安易な条件変更はしないように心がけましょう。

既存の保証協会付き融資で資金使途違反をしている

保証協会付き融資は、事業経営に必要な運転資金や設備資金のためのものです。

既存の保証協会付き融資による資金を、それ以外に使った場合、新たな融資は受けられません。

【資金使途違反の例】
・設備資金の融資を運転資金に利用
・融資金で高級車を購入
・融資金で有価証券・仮想通貨などを購入
・融資金を生活資金(役員貸付金)に充当

融資金は事業経営に関わる用途にのみ利用しましょう。

決算書の粉飾が疑われる

粉飾決算を行っているもしくは疑われる場合、信用保証は受けられません。

【粉飾決算】
会社の損益状況や財政状態を実態より良く見せるため、利益を過大に計上する不正な会計処理のこと

売上の架空計上などは決算書を良く見せるための常套手段ですが、財務分析を通じて判明します。

【粉飾決算の例】
・売掛金の滞留(売上の架空計上)
・在庫の過大計上(売上原価の過少計上)

決算書の粉飾はもちろん、疑われるような記載は控えましょう。

社長や役員・株主の信用力に問題がある

社長や役員・株主の信用情報に問題があると、保証協会の信用保証を受けるのは困難です。

【社長や株主の信用力に問題がある場合】
・社長に債務整理歴がある
・役員や株主が反社会的勢力に属している

企業自体だけでなく社長や役員、株主なども審査対象である点を肝に銘じておきましょう。

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保証協会付き融資を断られたときの対処法

保証協会付き融資を断られたときの対処法としては、主に以下の3つがあります。

【保証協会付き融資を断られたときの対処法】
・専門家に事業計画書作成を依頼する
・融資に有利な決算書を意識する
・融資の専門家へ相談する

プロに事業計画書を作成・監修してもらう

事業計画書は、財務的な知識が豊富な専門家に作成・監修を依頼するというのも一つの手です。

専門家に依頼すると、特に以下の3点に強い事業計画書を作れます。

【専門家が作成・監修する事業計画書】
・市場の魅力や競合優位性に関する分析力
・収支予測の妥当性
・事業リスクの予見と対策

これらは金融機関や保証協会が融資判断をする際に、重要としているポイントです。

知見のない人では、なかなかポイントを抑えた事業計画書を作るのは難しいでしょう。

少しでも不安がある人は、専門家に相談するのがおすすめです。

また、中期経営計画の具体的な作り方については、以下の記事で解説しているので参考にしてください。

融資に有利な決算書を意識する

融資審査では、決算書の内容は非常に重要なので、少しでも有利になるよう日々積み重ねましょう。

融資に有利な決算書とは、主に以下の3つの特長をもつ決算書を指します。

【融資に有利な決算書の特長】
・財務安全性が高い
 現金保有比率・当座比率・流動比率・自己資本比率が高い など
・収益性が高い
 売上高経常利益率が高い など
・返済能力が高い
 債務償還年数が短い など

融資に有利な決算書を作るには、上記の特長に合致するようにを改善することが重要です。

例えば、収支改善といった長期的な施策だけでなく、特別損失を活用するといった短期的な施策も効果大です。

また、決算書の内容は銀行の信用格付けにも大きく影響します。

信用格付けについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しているので参考にしてください。

融資の専門家へ相談する

融資の審査に落ちる理由は、一般論では判断しづらく、個別の問題点を見極めないと正確に分かりません。

その問題点と対策の見極めには、専門家に相談して知見を借りるのが最も効果的です。

専門家に依頼すると、以下の4つのメリットが期待できます。

【専門家に依頼するメリット】
・審査落ちリスクの個別診断と対策
・事業計画書を含む資料作成
・適切な金融機関の選定と紹介
・銀行との交渉のサポート

特に保証協会の審査対象は、会社のみならず、社長や役員・株主など広範囲に及びます。

自社の場合はどこに問題があるのか正確に把握するには、融資のプロに相談するのが一番です。

保証協会付き融資を全て丸投げしたい

一度、保証協会付融資を断られたからといって、諦める必要はありません。

審査に落ちた理由を適切に分析し対策すれば、成功する可能性は十分あります。

とはいえ、審査を通るにはノウハウが必要で、すべて対応するには煩雑な作業も伴います。

知識が少ない状態で自ら対応すると、審査結果の明暗を分ける重要なポイントを見落としがちです。

結果、再び審査に落ちてしまう可能性も高まるでしょう。

もし保証協会付き融資の審査に少しでも不安があれば、日本創業融資センターにぜひご相談ください。

日本創業融資センターでは、審査落ちリスクの把握や銀行選定、事業計画書の作成や面談対策など融資プロセスにおける各段階で、貴社のニーズに合わせた一気通貫のサービスを実施いたします。

CFO経験者や公認会計士などの財務のプロが支援させていただくので、ご安心ください。

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