【まとめ】融資がおりるまでの期間はどのくらい?実例を交え解説

【まとめ】融資がおりるまでの期間はどのくらい?実例を交え解説

監修者:渡部 豪(公認会計士)

KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)

資金が必要になった際、どのくらいの期間で融資金が入金されるかご存知でしょうか。

資金が必要な期日までに融資が完了していなければ、支払いができずに取引先の信用を失ったり、事業を続けられなくなったりするおそれがあります。

そのような事態を未然に防ぐために、本記事では4つの融資事例を紹介しながら融資がおりるまでの期間の目安を解説します。

さらに、融資審査が長期化したり、反対に短期化できるケースも説明するので、ぜひ資金調達スケジュールの参考にしてください。

目次

融資が完了するまでの流れ

日本政策金融公庫で融資を受ける場合、主に以下の流れで進みます。

【日本政策金融公庫の融資完了までの流れ】
融資申込み → 面談 → 審査 → 可決 → 契約 → 着金

上記のような流れで、おおよそ1ヵ月で融資完了となります。

ただし、大型連休を挟んだり、対応が遅れたりすると、融資金の着金までに時間がかかる可能性があるので注意してください。

融資がおりるまでの期間

過去に当センターで支援した4つの融資事例を見ると、融資申込みから融資金が口座に入金するまでは35日が平均となりました。

ただし、融資申込みまでの準備期間が必要など、融資金の入金まで長期化したりする場合があるため、早めに準備しておくとよいでしょう。

ここからは融資金の入金までにかかった日数と詳細を、各事例ごとに説明します。

事例①:短い業歴・年商なしでも約1ヵ月で着金

事例①
業歴3ヵ月
年商なし
(売上見込みあり)
利益なし
借入経験なし
経営者の経験業界経験あり
融資決定額1,000万円
事例①のスケジュール経過日数
申込み0日
審査担当者からの面談案内+9日
面談日+9日
可決日+4日
契約日+7日
融資金着金日+6日
トータル期間35日

事例①のケースは業歴が短く、年商や利益の実績もない状態で、一見すると返済能力がない状況でした。

しかし、今は利益がない状態でも経営者の業界経験や、その経験から語れる確度の高い売上見込みがあったために可決となったケースです。

事例①のように短い業歴だったり年商がなかったりしても、売上見込みを説得力をもって証明できれば約1ヵ月で資金調達できる可能性は十分あります。

事例②:各ステップを1週間未満で進めてスムーズに着金

事例②
業歴2年
年商2,000万円
利益300万円
借入経験なし
経営者の経験業界経験あり
融資決定額1,000万円
事例②のスケジュール経過日数
申込み0日
審査担当者からの面談案内+7日
面談日+6日
可決日+7日
契約日+5日
融資金着金日+6日
トータル期間31日

事例②は業歴が2年あり、利益を十分に確保しているケースです。

そのため、企業の信用と業績には問題ありませんでした。

さらに、手続きの各ステップを1週間未満で進められたため、スムーズに着金まで進みました。

事例②のように面談案内や契約書の返送にタイムリーに対応すれば、1ヵ月という短期間で資金調達することが可能です。

事例③:売上がずっとない場合はやや時間がかかる

事例③
業歴1年3ヵ月
年商なし
(売上見込みあり)
利益なし
借入経験なし
経営者の経験業界経験あり
融資決定額1,000万円
事例③のスケジュール経過日数
申込み0日
審査担当者からの面談案内+3日
面談日+13日
可決日+9日
契約日+11日
融資金着金日+15日
トータル期間51日

事例③では公庫担当者とパイプがあったためすぐに取次でき、申込みから面談案内までスムーズでした。

しかし、1年以上の業歴がありながら売上が立っていないため、融資審査に時間がかかってしまっています。

売上見込みがあっても、売上が長期間発生していないと審査期間が長期化するとわかるケースです。

また、面談案内の後にゴールデンウィークもあったため、面談実施までの時間もかかりました。

さらに、可決が決まってから書類集めに時間がかかったり、郵送時に不在だったりと契約手続きがスムーズに進みませんでした。

事例③からさまざまな理由で審査期間が長期化する可能性があるとわかります。

一方、創業後1年以上にわたり売上実績がなくても、融資審査に通る可能性は十分あるともいえる事例です。

事例④:年商が十分にあると可決が早い

事例④
業歴4年
年商3億円
利益1,000万円
借入経験信用金庫から借入あり
経営者の経験業界経験あり
融資決定額2,000万円
事例④のスケジュール経過日数
申込み0日
審査担当者からの面談案内+4日
面談日+4日
可決日+3日
契約日+9日
融資金着金日+4日
トータル期間24日

事例④の企業は業歴4年・年商3億円と、経験や利益が十分にあり借入経験もあることから可決まで24日とスムーズに進みました。

ただし、年末年始を挟んだために、可決から契約までは9日かかっています。

その影響がなければ、トータル期間は20日を切っていたかもしれません。

融資金着金まで長期化するケース

融資金の着金までが長期化するケースは、主に以下のとおりです。

【入金まで長期化するケース】
・審査の難易度が高い
・面談日の決定や契約書の返送が遅れる
・連休を挟む

上記に該当する場合は、融資金の着金日が遅くなる可能性があります。

審査の難易度が高い

下記のようなケースに該当すると、審査の難易度が高いため融資完了まで時間を要する場合があります。

【審査に時間がかかるケース】
・長期にわたって売上がない
・赤字から回復したばかり
・経営者の経験が少ない

実際に事例③では売上が長期間ないために、本来であれば面談から審査決定まで1週間程度のところ、約10日かかりました。

また、赤字から回復したばかりのケースも審査に時間がかかることがあります。

赤字回復は一時的な可能性があり、本当に返済能力があるのかどうか判断が難しいからです。

さらに、経営者の経験が少ない場合も、売上見込みに説得力がないため、審査担当者の信用を得られにくく審査期間が長期化するケースといえます。

面談日の決定や契約書の返送が遅れる

審査担当者とのスケジュールが合わないなどで面談日の調整が上手くいかなかったり、可決したが不在で契約書類を受け取れなかったりすると、入金完了までに時間がかかります。

融資申し込み中は、連絡がつきやすいようにしながら、契約書などをスムーズに受け取れるよう工夫しておきましょう。

特に申込みから1ヵ月程度は公庫からの連絡や手続きにすぐに対応できるよう、スケジュールに余裕を持ってください。

連休を挟む

日本政策金融公庫の営業日は平日であるため、融資申込みから融資金の振込までの間に連休があると、その分だけ期間が長期化します。

実際に「融資がおりるまでの期間」で紹介した事例③④では、大型連休や年末年始を挟んだために手続きが進まない期間がありました。

面談からすぐに可決が出たり、早めに契約書を返送できたりしても、時期によってはスムーズに進まない場合があります。

融資金着金まで短期化するケース

融資金の着金までの時間が短期化するケースとしては、主に以下の3つが挙げられます。

【入金まで短期化するケース】
・すでに売上がある
・既存借入がある
・審査担当者とのパイプがある

以上の3つのケースに当てはまると、公庫からの信用を得られて審査期間が短くなる傾向です。

すでに売上がある

すでに売上があったり、受注書など確実な売上見込みが立っていたりすれば、審査は短期化しやすいです。

金融機関が特に気にするポイントは返済能力があるかどうかであるため、すでに売上実績があれば返済原資は確保できると判断されます。

また、実際に売上があがっていなくても、受注書など確実な売上見込みを示す証拠を提示できれば、審査期間は短くなる傾向です。

まだ売上がないからといって、融資をあきらめないようにしましょう。

既存借入がある

公庫以外の金融機関を含めてすでに借入がある場合、着金までが短期化しやすいです。

完済経験があったり、既存の借入を返済中だったりすれば、問題なく返済を行ってきたという証明になり、担当者が安心できるためです。

ただし、消費者金融などの既存借入はマイナス評価となるため注意しましょう。

新規借入をする際は既存借入とのバランスを考慮することが、資金繰りを円滑にするポイントです。

審査担当者とのパイプがある

公庫の担当者とすでに顔見知りであったり、人脈があったりすると、日程調整や審査がスムーズに進行する傾向にあります。

なお、公庫とのパイプがなければ、パイプを持っている税理士などの紹介を利用する手もあります。

すぐに融資を受けたいという方は、検討してみてください。

融資金着金までの期間を最短にしたいあなたに

本記事で紹介した4つの事例から、資金調達までの期間は約1ヵ月であることがわかります。

とはいえ、上記はプロの支援を前提としたもので、融資手続きに慣れていない方であれば、申込み時期や会社の業績、売上見込みの説得力や経営者自身の経歴など、さまざまな理由で入金までの期間が長期化する可能性はあります。

そのため、最短で公庫からの融資を受けたければ、豊富なノウハウを持つ日本創業融資センターに相談してみてはいかがでしょうか。

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