国金(日本政策金融公庫)はどのような融資を行うのか?
監修者:渡部 豪(公認会計士)
KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)
「国金」と聞いて、どのような組織なのかご存知でしょうか。
国金は日本政策金融公庫(公庫)の前身の組織ですが、公庫になるまでの流れや、どのような融資を行うのかなどまで知っている方は少ないでしょう。
国金は、一般の金融機関から融資を受けにくい中小・零細企業を支援する組織です。
国金から公庫に名称を変えても、支援対象や内容は大きく変わっていません。
本記事では、国金がどのような融資を行う組織なのか、どのような流れで公庫となったのかなどを詳しく解説します。
国金(日本政策金融公庫)はどのような融資を行う組織なのか
国金は、国が株式を100%保有している政府系金融機関です。
組織統合前は「国民生活金融公庫」と呼ばれており、その名残で日本政策金融公庫となった今でも「国金」の略称で呼ばれる場合があります。
国金の運営目的は、公式サイトにて以下のように記載されています。
一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とし、国民一般、中小企業者及び農林水産業者の資金調達を支援するための金融の機能を担うとともに、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な金融を行うほか、当該必要な金融が銀行その他の金融機関により迅速かつ円滑に行われることを可能とし、もって国民生活の向上に寄与することを目的として業務を行っています。
情報元:日本政策金融公庫「プロフィール」
上記からわかるように、国金は「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を大きな目的としているのが特徴です。
つまり、民間の金融機関では融資を受けにくい事業規模の事業者でも、公庫の融資には通る可能性があるわけです。
そのため、国金はスタートアップや個人事業主、中小・零細企業にとって重大な役割を担っています。
また、自然災害や感染症の流行といった突然の危機に対処できる態勢を整備し、セーフティーネット機能も果たしています。
実際にコロナウイルスに代表される感染症や地震などの甚大な災害が起きた際、それによって大きく業績悪化した企業に対する特別な融資制度を設けています。
国金(日本政策金融公庫)の融資条件
国金の事業は公庫の「国民生活事業」が引き継いでいる形のため、ここでは現在の国民生活事業の融資条件を解説します。
以下の表は、新たに事業を始めるもしくは始めたばかりの方向けの新規開業資金の融資条件です。
新規開業資金の概要 | |
---|---|
項目 | 内容 |
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金使途 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(据置期間5年) 運転資金:10年以内(据置期間5年) |
利率(年) ※2024年9月2日時点 | 基準利率:1.35~3.7% ※一定条件に該当すれば、特別利率が適用 |
担保・保証人 | 要相談 |
女性の方や35歳未満の方、過疎地域で新たな事業を始める方など所定の条件に該当すれば、基準利率より1〜2%ほど低い特別利率で融資を受けられます。
また、担保を提供すれば、1%未満の金利で融資を受けられる場合もあります。
このように金利は低めに設定されており、国金は小規模事業者の創業期の資金繰りを円滑にする役割を担っているのです。
国金(日本政策金融公庫)の沿革
国金の設立から公庫に統合されるまでの主な沿革は以下のとおりです。
国金の沿革 | |
---|---|
年月 | 沿革 |
1949年 | 国民金融公庫が設立 |
1999年 | 環境衛生金融公庫と統合し 国民生活金融公庫が設立 |
2008年 | 国民生活金融公庫・中小企業金融公庫・ 農林漁業金融公庫が統合し、 株式会社日本政策金融公庫となる |
元々、日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫といった3つの特殊法人に分かれていました。
国民生活金融公庫:
国民生活金融公庫法に基づく政策金融機関。通称「国金(こっきん)」。
農林漁業金融公庫:
農林漁業金融公庫法に基づく農林水産省および財務省所管の特殊法人および政策金融機関。
中小企業金融公庫:
中小企業金融公庫法に基づく政策金融機関。。略称「中小公庫(ちゅうしょうこうこ)」。
2008年10月から上記が統合され、それぞれの役割を日本政策金融公庫が引き継いでいます。
そのため現在では国金は存在しませんが、かつての名残で現在でも国金と呼び続ける人がいます。
日本政策金融公庫に統合されたことで、ワンストップでさまざまな方々の幅広い資金ニーズに応えられるようになりました。
今では日本政策金融公庫を「公庫」や「日本公庫」と略して呼ぶ人もいます。
国金(日本政策金融公庫)から融資を受けるなら
本記事では、国金(日本政策金融公庫)について解説しました。
国金の役割はスタートアップや個人事業主、中小・零細企業向けに融資を行うことです。
なお、現在では国金は存在せず、その役割を日本政策金融公庫の「国民生活事業」で担っています。
そのため、銀行や信用金庫など一般の金融機関では融資を受けにくい事業者でも、公庫の審査であれば通る可能性があります。
とはいえ、申込み手続きや必要書類の準備、面談対策などを経営者がすべて対応するのは非常に手間となるでしょう。
さらに、準備を万全にしても審査に通らなかったり、希望条件で融資を受けられなかったりする可能性があります。
審査の準備の手間を省きつつ、できるだけ良い条件で融資を受けたければ、融資支援の専門家である日本創業融資センターへぜひご相談ください。
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