日本政策金融公庫で融資を申し込む際の必要書類や流れについて解説

日本政策金融公庫で融資を申し込む際の必要書類や流れについて解説

監修者:渡部豪(公認会計士・CFO)

渡部豪公認会計士事務所代表 兼 ベンチャー企業CFO(財務責任者)

公認会計士として、これまで130社超の創業期の会社に対し融資支援の実績有。(創業融資での最大成功額 6,500万円)

また自身もベンチャー企業のCFOとして累計7億円の融資調達に成功。

目次

日本政策金融公庫の融資に必要な書類

必要書類は個人事業主か法人か、また事業年数で異なる

日本政策金融公庫の融資を検討されている方のなかには、申し込みにあたってどのような書類が必要なのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。

まず、日本政策金融公庫のホームページでは、申し込み時に必要な書類について個人事業主と法人で分けて記載がされています。

事業年数によっても必要書類は異なってきますので、詳細を解説していきます。

【日本政策金融公庫 申し込み時に必要な書類】

日本政策金融公庫 国民生活事業「ご提出書類 【インターネット申込用】

全ての方に共通する必要書類

借入申込書

全ての方に共通する必要書類として「借入申込書」というものがあります。

借入申込書は、公庫への融資の申込み内容を記入する書類です。
どのような目的で、どくらいの借入がいつまでに必要なのか(左側)、また申請者の情報(右側)を記載します。

借入申込書は、公庫への融資の申込み内容を記入する書類です。

借入申込書の書き方については、下記の記事を参考にしてみてください。

必要書類の違い

借入申込書以外の必要書類については、事業年数で変わってきます。

事業年数で必要書類に違いがある理由としては、これから事業を開始するのか、事業を既に開始しているのか、また開始している場合は何年経過しているのかで、審査で見る項目が変わるからです。

例えば、
【これから事業を開始する場合
 事業実績がないため、創業計画書に加え、代表者個人の経歴や収入資産といった項目が重視されます。

事業を既に開始している場合
 代表者個人の経歴や収入資産は審査に一定加味されるものの、まずは事業実績がしっかり出ていることが重要となります。

事業を開始してある程度の年数がたっている(3期以上)場合
 代表者の経歴や収入資産よりも、事業実績が出ているか、また今後の見通しに安定性はあるか、を中心に評価されます。

業歴と審査項目の違い
事業年数事業代表者
これから
事業を始める
創業計画経営者の経歴
経営者の収入資産
事業開始から
2期未満
創業計画
事業実績を示す書類
経営者の経歴
経営者の収入資産
事業開始から
3期以上
事業実績を示す書類
事業の見通しを示す書類
(事業計画書など)

上記の事業年数に加えて、法人なのか、個人事業主なのか、でも必要書類は異なってきます。詳細を解説していきます。

これから事業を始める方の必要書類

これから事業を開始する方【法人・個人事業主で共通】

これから事業を始める方が融資審査で見られる項目は、主に創業計画書の合理性と、代表者の経歴や収入資産となります。

とくに事業の実績が出ていないなかで作成する創業計画書は、基本的には絵に描いた餅といった見方をされます。

絵に描いた餅である創業計画書の確実性を確認する観点では、代表者の経歴が十分か、また万が一事業がうまくいかない際に経営者個人に相応の収入力や資産があるかといった審査がなされます。

そのため、創業計画書には代表者の経歴を細かく記載する欄があります。
また代表者個人の収入力や保有資産を確認するために、源泉徴収票(前職)や預金通帳、金融資産の証明書などの書類が求められます。

加えて、自己資金の出処や蓄財・散財の有無を確認する目的で、個人の預金通帳の入出金まで細かくチェックされます。

これから事業を開始する方
【法人・個人事業主で共通】
必要書類説明
事業借入申込書公庫HPよりDL可
【記入例】
創業計画書公庫HPよりDL可
【記入例】
見積書【設備融資希望の場合】
購入予定設備に
関するもの
代表者本人確認書類運転免許証
パスポート
健康保険証
住民票
など
源泉徴収票
(直近1年分)
前職で発行されたもの
または確定申告書
預金の明細
(直近6ヵ月分)
預金通帳(原本)
ネットバンク明細
(コピー)
金融資産の証明書証券口座の残高明細
金地銀の時価証明
仮想通貨の残高証明
賃貸借契約書(自宅)賃貸の場合
固定資産課税明細
(自宅)
持ち家の場合
公共料金の領収書
(直近1ヵ月分)
電気ガス水道
いずれか
返済予定表住宅ローン
ほか

事業を開始して2期未満の場合

既に事業を開始している場合であっても、事業年数が2期未満の場合、審査項目は基本的に【これから事業を開始する方】と同様です。

審査の考え方として、事業年数が2期未満の場合、それが安定しているものなのか、一時的なものなのか分からないため確認が必要といったものがあります。

そのため、創業計画書に記載された計画が達成できるかどうかについて、代表者の経歴を確認し審査します。
また、事業に万が一の際を想定し、代表者の収入資産も審査項目となります。


とはいえ、事業を開始してから2年間の間で実績が出ているようであれば、事業の立ち上がりを示す重要なアピールポイントとなるため、実績を示す税務申告書や試算表の提出が必要となります

加えて、許認可が必要な事業に関しては、許認可が取得できていることを証明する必要があります。

法人の必要書類

税務申告書・定款・履歴事項全部証明書・印鑑証明書などは、【法人】特有の書類となります。
事業の実績を確認するため、税務申告書(直近1期分)や最新の試算表の提出が求められます。

事業を開始して2期未満の方【法人】
必要書類説明
法人借入申込書公庫HPよりDL可
【記入例】
創業計画書公庫HPよりDL可
【記入例】
税務申告書一式
(直近1期分)
確定申告書
貸借対照表
損益計算書
勘定科目明細書
法人事業概況説明書
最新の試算表月次推移表
残高試算表
見積書【設備融資希望の場合】
購入予定設備に
関するもの
許認可証クリニック開業届
飲食業許可
有料職業紹介業事業
など
返済予定表既存借入に関するもの
定款
履歴事項全部証明書法務局で取得
賃貸借契約書
(本社)
預金の明細
(直近6ヵ月分)
預金通帳(原本)
ネットバンク明細
(コピー)
代表者本人確認書類運転免許証
パスポート
健康保険証
住民票
など
源泉徴収票
(直近1年分)
現職で発行されたもの
または確定申告書
預金の明細
(直近6ヵ月分)
預金通帳(原本)
ネットバンク明細
(コピー)
金融資産の証明書証券口座の残高明細
金地銀の時価証明
仮想通貨の残高証明
賃貸借契約書
(自宅)
賃貸の場合
固定資産課税明細
(自宅)
持ち家の場合
公共料金の領収書
(直近1ヵ月分)
電気ガス水道
いずれか
返済予定表住宅ローン
ほか

個人事業の必要書類

個人事業主の場合、税務申告書は所得税に関するものとなります。また、開業届などは【個人事業主】特有の書類です。
そのほかの必要書類は基本的に、【法人】と変わりはありません。

事業を開始して2期未満の方【個人事業】
必要書類説明
事業借入申込書公庫HPよりDL可
【記入例】
創業計画書公庫HPよりDL可
【記入例】
税務申告書一式
(直近1年分)
確定申告書
青色申告決算書
収支内訳書
所得の内訳書(別表)
医療費控除の明細書
など
最新の試算表月次推移表
残高試算表
見積書【設備融資希望の場合】
購入予定設備に
関するもの
許認可証クリニック開業届
飲食業許可
有料職業紹介業事業
など
返済予定表既存の事業借入
に関するもの
開業届個人事業に関するもの
賃貸借契約書
(事務所)
預金の明細
(直近6ヵ月分)
預金通帳(原本)
ネットバンク明細
(コピー)
代表者本人確認書類運転免許証
パスポート
健康保険証
住民票
など
預金の明細
(直近6ヵ月分)
預金通帳(原本)
ネットバンク明細
(コピー)
金融資産の証明書証券口座の残高明細
金地銀の時価証明
仮想通貨の残高証明
賃貸借契約書
(自宅)
賃貸の場合
固定資産課税明細
(自宅)
持ち家の場合
公共料金の領収書
(直近1ヵ月分)
電気ガス水道
返済予定表住宅ローン
ほか

事業を開始して3期以上の場合

事業を既に開始しており3期以上経っている場合は、主に事業実績と見通しの安定性が審査項目となります。

このフェーズでは、いくら代表者の経歴が輝かしく、また収入や資産を持っていたとしても、基本的には事業実績が出ていないと融資は受けられません。

もちろん、連帯保証人としての代表者の資産などは審査上は一定の評価対象がなされますが、審査結果の大部分は事業単体の収益力の実績、とくに決算書の内容で決まってきます。

また創業計画書ではなく、企業概要書といった書類が必要となります。

法人の必要書類

事業を開始して3期以上の場合は、直近2期分の税務申告書を必ず提出します。
預金の明細などは求められない場合が多く、決算の内容が最も重要となります。

事業を開始して3期以上の方【法人】
必要書類説明
法人借入申込書公庫HPよりDL可
【記入例】
企業概要書公庫HPよりDL可
【ひな形
税務申告書一式
(直近2期分)
確定申告書
貸借対照表
損益計算書
勘定科目明細書
法人事業概況説明書
最新の試算表月次推移表
残高試算表
見積書【設備融資希望の場合】
購入予定設備に
関するもの
許認可証クリニック開業届
飲食業許可
有料職業紹介業事業
など
返済予定表既存借入に関するもの
定款
履歴事項全部証明書法務局で取得
賃貸借契約書(本社)
代表者本人確認書類運転免許証
パスポート
健康保険証
住民票
など
源泉徴収票
(直近1年分)
現職に関するもの
金融資産の証明書預金口座の残高明細
証券口座の残高明細
金地銀の時価証明
仮想通貨の残高証明
賃貸借契約書(自宅)賃貸の場合
固定資産課税明細
(自宅)
持ち家の場合
返済予定表住宅ローン
ほか

個人事業主の必要書類

個人事業主の場合も同様で、事業を開始して3期以上の場合は、直近2年分の税務申告書(所得税)を必ず提出します。

事業を開始して3期以上の方【個人事業主】
必要書類説明
事業借入申込書公庫HPよりDL可
【記入例】
企業概要書公庫HPよりDL可
【ひな形】
税務申告書一式
(直近2年分)
確定申告書
青色申告決算書
収支内訳書
所得の内訳書(別表)
医療費控除の明細書
など
最新の試算表月次推移表
残高試算表
見積書【設備融資希望の場合】
購入予定設備に
関するもの
許認可証クリニック開業届
飲食業許可
有料職業紹介業事業
など
返済予定表既存の事業借入に関するもの
開業届青色申告届出書
賃貸借契約書(事務所)
代表者本人確認書類運転免許証
パスポート
健康保険証
住民票
など
金融資産の証明書預金口座の残高明細
証券口座の残高明細
金地銀の時価証明
仮想通貨の残高証明
賃貸借契約書(自宅)賃貸の場合
固定資産課税明細
(自宅)
持ち家の場合
返済予定表住宅ローン
ほか

その他の必要書類

上記のほか、申込人の状況によって提出を求められる必要書類があります。
また、融資決定後に必要となる書類もあるため、スムーズな着金を目指す方はあらかじめ準備しておきましょう。

申込人の状況によって必要となる書類

申込人の状況によって必要となる書類
申込人の状況必要書類
新型コロナウイルス
感染症特別貸付
(通称:コロナ融資)
を希望する場合
ご商売の概要
新型コロナウイルス
感染症の影響による
売上減少の申告書
別会社の代表も兼務している場合関連会社の税務申告書
(直近2期分)
不動産を担保に入れる場合不動産の登記簿謄本
(写し)
受注の見込みが立っている場合見積書
受注契約のドラフト
事業見通しの説明を
求められた場合
事業計画書
収支計画書
資金計画書

融資決定後に必要となる書類

融資が決定した後、融資契約を締結するにあたっては以下の書類が必要となります。

融資決定後の必要書類
必要書類説明
借用証書公庫より郵送
収入印紙(~2万円)借用証書に貼付
納税証明書(直近分)法人税または所得税に関するもの
税務署で取得可
印鑑証明書【法人】
(発行から3ヵ月以内)
法人実印に関するもの
印鑑証明書【個人】
(発行から3ヵ月以内)
個人実印に関するもの
預金口座振替利用届
(複写式)
公庫より郵送
返済口座の銀行で手続きを行い返送

【借用証書】
融資が決定した後、概ね3~5営業日以内に公庫から郵送で送られてきます。
借用証書には、決定額・金利・期間などの融資条件が記載されており、契約人の記名と実印の押印を行い、収入印紙を張り付けたうえで返送します。

【収入印紙】
借用証書に貼り付けるもので、決定した融資額に応じ変動します。

【納税証明書】
申込人の状況によっては、納税証明書(直近)の確認をもって融資の正式決定となる場合があります。
納税証明書は、税務署で取得可能です。法人税や所得税の領収書も納税証明書にかわる代替資料となります。

【印鑑証明書(個人・法人)
借用証書に押印する実印に関する印鑑証明書となります。発行日から3ヵ月以内の有効なものである必要があります。

【預金口座振替利用届(複写式)】
融資の返済は毎月口座引き落としとなり、口座の引き落としに関する申込書となります。
こちらは複写式(3枚)となっており、口座引き落としを予定する銀行で手続きを行った後、1枚を公庫に提出します。(残り1枚は銀行側保管、1枚は申込人控え)

融資の申し込み方法と審査の流れ

日本政策金融公庫の融資の申し込みの手順や、審査の流れは以下のとおりです。

審査にかかる期間としては、概ね申し込みから1ヵ月程度といったイメージです。

資金が必要なタイミングから逆算し、必要書類の準備を進めましょう。

STEP
必要書類の準備

公庫の融資を利用するにあたって、いくつかの書類を準備し提出する必要があります。
【申し込み時に必要な書類】については、本記事をご覧ください。

STEP
融資申し込み【窓口・WEB】

必要書類がすべてそろったら、提出(申し込み)を行います。
公庫の各支店窓口に直接行ってもいいですが、公庫のホームページからインターネット申込が便利です。

STEP
審査担当者との面談【支店】

融資申込後、審査担当者から面談の案内があります。

面談は公庫の各支店で対面で行われ、約1時間程度、審査担当者との質疑応答を行います
面談の内容については、下記の記事をご覧ください。

STEP
融資決定・融資手続き【郵送】
融資結果は、審査担当者から電話で直接通知され、借入金額・金利などの融資条件が確定します。

融資の契約手続きは郵送で完結します。
公庫から送られてきた借用書に署名捺印を行い、返送します。借用書の返送が完了後、約5日程度で指定口座に着金します。

融資の必要書類の準備が大変なときは

これまでご説明したとおり、日本政策金融公庫の融資を受けるために必要な書類はたくさんあります。

また借入申込書や創業計画書などには、実績を根拠とした合理性のある成長ストーリーや、収支のシミュレーションを記載します。
慣れない方ですと少し難しいと思われるかもしれませんが、このような金融機関向けの資料作成は、専門家のサポートを受けて進めることもできます。

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