【日本政策金融公庫】返済期間は何年が理想?事例についても解説

【日本政策金融公庫】返済期間は何年が理想?事例についても解説

「日本政策金融公庫で融資を受けたいけれど、返済期間はどのくらいが適切なんだろう…?」
そんな疑問を抱える起業家・経営者の方も少なくないでしょう。実際、制度上は設備資金で最長20年、運転資金で最長10年の返済期間が認められています。しかし、「長く借りられるなら安心」と考えて安易に長期返済を希望すると、審査で減額や短縮を受けてしまうことも。

そこで本記事では、本記事では、日本政策金融公庫の制度ごとの返済期間に加え、実際の事例をもとに、理想的な返済期間の考え方を解説します。返済の負担を軽減しつつ、審査でも有利になるような計画の立て方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

監修者:渡部 豪(公認会計士)

KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)

目次

日本政策金融公庫の返済期間は最長20年まで設定可能

公庫では、利用する制度や資金の使い道によって、返済期間と据置期間の上限が異なります。最長で20年までの長期返済が可能で、これは民間の銀行融資と比べて非常に有利な条件です。資金繰りに余裕を持ちたい事業者にとって、大きなメリットといえるでしょう。

以下は、代表的な融資制度と返済条件の比較です。

公庫の融資制度
制度名資金の使い道最長返済期間最長据置期間
新規開業資金運転資金10年5年
設備資金20年5年
一般貸付運転資金5年1年
設備資金10年2年
一般貸付
(特別設備枠)
設備資金20年2年
出典:日本政策金融公庫「新規開業資金」「一般貸付」

民間の銀行では、運転資金の融資期間は1〜3年程度、設備資金でも7〜10年が一般的ですが、公庫は、事業の性質や返済原資となるキャッシュフローに応じて、より柔軟に長期の返済期間を設定できることが特徴です。

日本政策金融公庫の融資には「運転資金」と「設備資金」の2つの資金使途がありますが、それぞれの性質の違いにより、適切な返済期間の目安も異なります。

運転資金とは、仕入れや人件費、家賃、広告費など、日々の事業活動を維持するために必要な資金を指します。比較的短期間で売上として回収される性質があるため、公庫の制度でも返済期間は短めに設定されます。

一方、設備資金は、機械設備や店舗内装、ITシステムなどへの初期投資を対象とします。長期間にわたって利益を生み出す性質があるため、返済期間も長く取ることが可能です。高額な設備投資であっても、無理なく返済できるよう、長期返済が認められるのが特徴です。

理想的な返済期間の決め方

日本政策金融公庫の制度では、設備資金で最長20年、運転資金でも最大10年と、比較的長い返済期間を選択することが可能です。しかし、長く設定できるからといって、それが必ずしも「理想の返済期間」になるわけではありません。

返済期間の設定は、資金繰りへの影響だけでなく、融資審査の通過率や将来の融資機会にも関係するため、慎重に検討する必要があります。

返済期間を長くしすぎるデメリット:審査が厳しくなる

返済期間を長くすることで毎月の返済額は抑えられ、資金繰りに余裕が生まれます。たとえば同じ1,000万円を借りる場合でも、5年返済と10年返済では月々の返済負担が大きく異なります。しかし、公庫にとって「長期間にわたり資金を貸し付けること」はリスクでもあり、返済期間が長すぎると審査が厳しくなる傾向があります。

実際に、創業期の企業が運転資金として7年返済を希望したものの、1,000万円の申し込みが700万円に減額された事例や、7年で申請したにもかかわらず5年に短縮された事例もあります。そのため、「返済期間は長ければ長いほど安心」という認識は危険であり、場合によっては審査担当者に「返済能力に不安がある」と見なされてしまう可能性もあるのです。

また、銀行は「安定したキャッシュフロー」を重視しています。5年先まではある程度見通せても、10年先となると不確実性が高まるという判断がされることもあります。その結果、希望した融資額が減額されたり、返済期間が短縮されたりすることも珍しくありません。

返済期間を短くするメリット:返済実績が積める

一方、返済期間を適度に短めに設定し、着実に返済実績を積むことは次回の融資にもプラスに働きます。

日本政策金融公庫には「折り返し融資」という考え方があり、既存融資の元本を50%以上返済していれば、次の追加融資が受けやすくなるという実務的な傾向があります。無理のない範囲で短めの返済計画を立て、早期に返済を進めることで、将来の資金調達に有利な実績をつくることが可能です。

借入期間の希望を伝える:借入申込書に記入する

返済実績の積み重ねや将来の融資戦略を考えると、返済期間は「できるだけ長く取る」よりも、「事業に合った適切な期間を見極めて設定する」ことが大切です。そのため、公庫への融資申請時には、借入申込書に希望する返済期間を明記するようにしましょう。


ただし、最終的な返済期間は公庫側の審査によって決定される点には注意しましょう。制度上限が10年や20年であるからといって、そのままの年数を選ぶのではなく、自社の事業計画やキャッシュフローをもとに、最適なバランスを見極めることが重要です。

一般的な返済期間は何年?融資決定事例から見る現実的な設定

返済期間の理想を考える上では、実際にどのくらいの年数で公庫の融資が決定しているのかを知ることが重要です。
ここでは、日本創業融資センターが支援した融資実績から、実際に採用された返済期間の傾向を紹介します。

運転資金の場合:7年が最も一般的

運転資金の返済期間(決定実績割合)
5年7年10年
5%95%0%
出典:日本創業融資センター調べ(過去支援実績)

運転資金については、圧倒的に「7年」で決定されるケースが多く、10年はほとんど採用されていません。一部の支店では、申請内容がやや過大と見なされた場合に、審査担当者から返済期間の短縮(例:7年→5年)を提案されることもあります。そのため、無理に10年で申請するよりも、現実的なラインとして7年で申請するのが一般的です。

設備資金の場合:10年が基本

設備資金の返済期間(決定実績割合)
10年15年20年
90%5%5%
出典:日本創業融資センター調べ(過去支援実績)

20年が認められた事例は、不動産賃貸業かつ耐用年数の長い築浅物件(RC造:法定耐用年数47年)について、合理的に役務提供が可能な年数として獲得できたため例外です。単に耐用年数が長いからといって20年が通るわけではなく、その事業が継続的にキャッシュフローを生むかといった安定性も評価されます。設備資金は、通常10年で申請しておくのが妥当です。

据置期間は6ヵ月〜1年が目安

据置期間(決定実績割合)
なし6ヵ月1年
60%30%10%
出典:日本創業融資センター調べ(過去支援実績)

コロナ融資の実質的な終了に伴い、1年以上の長期据置が認められるケースは限定的となっていますが、創業間もない企業(決算2期未満)であれば、6ヵ月〜1年程度の据置期間が認められる傾向にあります。

特に、1年の据置が認められるのは、ストック型ビジネスなど収益基盤が比較的明確な事業に多く、これは一定の事業安定性が評価されている証ともいえます。また、あえて据置期間を設けずに早期返済を進めることで、1年後などの次回融資に備えるという戦略的な選択を取る企業もあります。

実例で見る返済期間シミュレーション

ここでは、実際の借入金額と金利をもとに、返済期間を5年と7年で比較したシミュレーションを紹介します。

【シミュレーション条件】
借入額:2,000万円(運転資金)
金利:年2.5%
返済方法:元利均等(毎月返済:元本+利息)

返済シミュレーション
返済期間5年7年
月々の返済額約35.5万円約26.5万円
総返済額約2,130万円約2,230万円
利息の合計約130万円約230万円
支払回数60回84回
折り返し時点
(50%完済)
2年後3年後

7年返済にすることで、毎月の返済額を約9万円下げることができますが、その分返済総額は約100万円多くなります。

返済期間の設定は資金繰りだけでなく、事業全体の成長計画や信用構築にも大きく関わってきます。ご自身の事業プランで返済可能か検討をして、余裕をもって返せる年数で計画しましょう。

日本政策金融公庫で融資を受けたい方へ

返済期間の設定は、借入額や月々の負担だけでなく、今後の資金調達の可能性にも大きく影響します。事業の成長や資金繰りの安定性を考えるうえで、適切な返済期間の選定は非常に重要なポイントです。「据置期間を長く取りたい」「資金繰りに余裕を持たせたい」など、ご自身の計画に応じて最適な返済プランを立てたい方は、門家との相談が成功への近道です。

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