日本公庫政策公庫の略称は?日本公庫、政策公庫、国金どれが正しい?


監修者:渡部 豪(公認会計士)
KPMGあずさ監査法人で勤めたのち、ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)へ就任。
創業期の会社のデットファイナンス(融資)を複数支援した実績を持つ。
【主な支援実績】
融資額:最大5億円(コンサル会社)
創業融資額:最大6500万円(EC会社)
「日本政策金融公庫」という名前は聞いたことがあっても、実際に略称をどう呼ぶのが正しいのか迷ったことはありませんか?
人によっては「日本公庫」と呼んだり「政策公庫」と呼んだり、昔から事業をしている人の中には「国金(こっきん)」という言葉を使う方もいます。さらに英語表記もあるため、初めて耳にすると混乱してしまうのも無理はありません。
本記事では、日本政策金融公庫の沿革と名称の意味、過去に使われていた略称との違いを分かりやすく解説していきます。
日本政策金融公庫の名称の由来
日本政策金融公庫の沿革
日本政策金融公庫は、2008年に複数の政府系金融機関が統合されて設立されました。統合されたのは主に以下の公的機関です。
- 国民生活金融公庫
- 農林漁業金融公庫
- 中小企業金融公庫
- 国際協力銀行(国際金融等業務の一部)

参照:https://www.southagency.co.jp/funding/2638/
これらを一本化することで、政府100%出資の総合的な政策金融機関として国内の中小企業・小規模事業者、農林漁業者、創業者、災害対応など幅広い分野を支援する組織が生まれました。
日本公庫政策公庫の正式な略称
日本政策金融公庫の正式な略称は「日本公庫」で、読み方は「にっぽんこうこ」とされ、現在も公式に使用されている呼び方です。

参照:日本公庫の役割と使命
なぜ「日本政策金融公庫」という名称になったのか
ではなぜ「日本政策金融公庫」という難しい名前になったのでしょうか。そこには組織の役割をわかりやすく伝える意図があると推測できます。
- 「政策金融」
民間の銀行ではリスクが高すぎて融資が難しい分野、例えば創業間もない事業者や農林漁業、災害からの復興支援などを対象とした「政策目的に基づく金融支援」を意味しています。単なる商業銀行ではない、公共的・政策的な役割を持つ機関であることを明確に表しています。
- 「日本」
統合によって地域別・分野別に分かれていた機能を全国的に一本化した点を示します。また、「日本」を冠することで政府出資の全国的な公的機関であるという位置付けを強調していると考えられます。
- 「公庫」
戦後の政府系金融機関では「公庫」という呼び名が一般的に使われてきました。あえて「銀行(Bank)」ではなく「公庫(Corporation, Institution)」としたのは、利益を追求するのではなく、公共性や政策性を優先する法人であることを示すために「公庫」という名称をつけたと考えられます。

このように「日本政策金融公庫」という名称には、公共性を重視した政府の金融機関であることを明確にする意味合いが込められていると考えられます。
その他の略称
日本政策金融公庫は「日本公庫」という正式な略称で呼ばれますが、これまで他にもいくつかの呼び方が使われてきました。いくつか代表的なものをご紹介します。
- 政策公庫(せいさくこうこ)
設立当初、しばらくの間は「政策公庫」という呼び方も見られましたが、2009年1月に正式に「日本公庫」という略称が採用されてからは、公式には使用されていません。「政策公庫」という呼び名が避けられるようになった理由のひとつは、言葉の意味が重複していたからです。「政策」も「公庫」もともに公共性や政策性を表しており、やや冗長な印象を与えるため、よりわかりやすい「日本公庫」に統一されたと考えられます。
- 国金(こっきん)
「国金」という呼び名は、前身である国民生活金融公庫(1999年~2008年)の略称です。
国民生活金融公庫は2008年の統合によって解散しましたが、当時から融資を受けていた中小事業者や個人事業主の間では、今でも親しみを込めて「国金」と呼ばれることがあります。つまり「国金」という呼び方は、現在の正式な略称ではありませんが、昔からの利用者には馴染み深い言葉として残っているのです。
- JFC
「JFC」とは Japan Finance Corporation の略で、日本政策金融公庫の英語名を短縮した呼び方です。
参照:https://www.jfc.go.jp/n/company/profile.html
日本政策金融公庫の概要と各事業の役割
日本政策金融公庫は、全国の中小企業や小規模事業者、農林水産業、生活者を幅広く支援するために、3つの主要な事業部門を持っています。それぞれが対象とする分野や役割が異なるため、それぞれの役割についても解説しておきます。
| 日本政策金融公庫の概要と各事業の役割 | ||
|---|---|---|
| 部門 | 対象 | 役割 |
| 国民生活事業 | 小規模事業者や創業企業、一般生活者 | 事業資金融資、教育資金融資 |
| 中小企業事業 | 地域経済を支える中小企業・小規模事業者 | 融資、信用保険、資金繰りサポート |
| 農林水産事業 | 農林漁業や食品産業 | 融資をはじめとする支援事業 |
最も利用者が多いのが「国民生活事業」で、特に、開業したばかりの起業家やフリーランス、家業を継いだ若手経営者など、民間金融機関では借りにくい立場の人が利用しやすいのが特徴です。
地域経済を支える中小企業や小規模事業者を主な対象としている「中小企業事業」は、一般的に年商3〜5億円以上規模の事業者が対象となるケースが多く、国民生活事業に比べてやや大きな企業向けの制度と言えます。
他にも、農業・林業・漁業といった第一次産業や、それに関連する食品産業を支援する「農林水産事業」があります。
日本政策金融公庫で融資を受けたい
日本政策金融公庫の融資を確実に通したい、できるだけ有利な条件で資金調達をしたい方は、ぜひ日本創業融資センターにご相談ください。
日本創業融資センターは、経済産業省認定の支援機関として、これまでに100件以上の公庫融資支援実績があり、融資成功率は98%を誇ります。
単なる申請書類作成の代行とは異なり、事業計画書の作成から審査面談対策までをワンストップで支援しています。
公認会計士・税理士・CFO経験者など、融資実務に精通したプロフェッショナルが、創業融資や運転資金・設備資金など、さまざまな目的に合わせた最適な融資プランを解説。
さらに、当センターのサポートはすべて完全成功報酬型のため、融資が実際に成立するまでは、費用は一切発生しません。
融資が通るか不安な方でも、リスクなく専門家の支援を受けることができます。
「公庫の融資に通るか知りたい」「自分の事業でいくらまで借りられるのか知りたい」という方のために、現在、融資の可能性を無料で診断するサービスを実施中です。日本政策金融公庫で融資をご検討されている方は、まずはお気軽に日本創業融資センターの無料相談をご利用ください。
